美容室運営で優秀なスタッフを費用をかけずに採用する方法｜ポイント、人材の特徴を解説

髪のケアは美容の中でも特に欠かせず、男女問わず印象を大きく決めるポイントであり、適切なケアや理想の髪型にするスキルに憧れて、美容師を目指す人は多くいます。美容師は、顧客に感謝される機会が多いことや、美容の技術を磨き続けられるといった点で、やりがいを感じやすい職業です。

そんな美容師にとって、独立して自身の美容室を開業することは特に大きな目標でしょう。しかし、開業率も廃業率も高い美容室で成功するには、開業時の準備が重要になります。

美容室の開業の流れ、物件選びを理解したら次はスタッフの採用です。優秀なスタッフを採用することで効率よく店舗の運営ができるようになり、経営が安定します。しかし、美容室の開業には初期費用がかかり、採用になかなか予算を割けません。費用をかけずに優秀なスタッフを採用するにはどうしたらいいのでしょうか。

本記事では費用をかけずに優秀なスタッフを採用するポイントやコツ、やり方について解説します。

【参考記事】
・ますます増える美容室！今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】
・ますます増える美容室！今から開業したい人が知っておくべきポイント【後編】
・美容室の物件選びのポイントは？開業が成功するコツを解説！

優秀な人材の特徴

ビジネスの成功は、その組織に所属するスタッフの質に大いに左右されます。優秀な人材の特性を理解することは、経営側が適切な人材を見つけ、その能力を最大限に引き出すための鍵となります。美容室で働くスタッフに最も重要な能力として、カットやカラーのスキルが挙げられますが、他にも以下のような特徴がある人材が重宝されます。

コミュニケーション能力が高い

コミュニケーション能力が高い人材が美容室の運営に持つ影響は非常に大きいです。コミュニケーション能力が高いスタッフは顧客と効果的にコミュニケーションをとることができ、その結果、顧客の問い合わせや要望に対して迅速かつ適切に対応することが可能になります。これは顧客満足度の向上に繋がり、特に美容師は、施術中の会話や雑談がその店舗の空気を作るため、リピート利用や口コミによる新規顧客獲得に貢献します。受付スタッフも円滑なコミュニケーションや連携を取る必要があり、コミュニケーション能力の高さはスムーズな業務進行につながります。

高い問題解決能力

問題解決能力が高い人材は、問題が発生した場合にも適切な対応ができます。開業当初は運営側も不慣れな点が多く、どうしてもトラブルが起きやすい状況であることは仕方ありません。美容室では特に、満足いかない施術で顧客が不快感を抱く可能性もあります。そういった際に、問題解決能力が高いスタッフがいれば、問題の早期解決したりや顧客の不満を未然に防いだりすることが可能です。

専門知識、経験を活かせる

美容室の運営には、以下のような専門知識や経験が役立つことがあります。

これらの知識や経験を持つ人材がスタッフがいれば、顧客に対するサービスの質を高めるとともに、美容室の運営もスムーズに行うことができます。

さらに、スキルに加えてコミュニケーション能力が高いスタッフは、自分自身のスキルや経験を他のスタッフと共有することができ、全体のスキルレベルの向上に貢献します。

柔軟性

柔軟性のある人材は、様々な業務を適応的にこなすことが可能です。特に開業直後は予約の受付、フロント業務、施術、清掃など複数の業務を限られた人員でこなさなければなりません。柔軟性のあるスタッフがいると人員不足の際に、別業務を兼任できるため、運営の効率化が見込めます。また、業界のトレンドや顧客のニーズは常に変化します。ヘアカットやヘアカラーは流行の波が激しいため、特にその傾向があります。柔軟性のあるスタッフはこのような変化に対応し、新しいトレンドを取り入れてビジネスの成長につなげられる能力を持っています。

顧客志向

顧客志向、つまり顧客の視点を持つ人材がいることは、サービスやブランド価値の向上、利益増加に大いに寄与します。新規顧客の獲得にもつながるでしょう。

顧客志向のスタッフは、顧客の需要をよく理解し、それに対応したサービスを提供できるため、顧客リピート率の向上に貢献します。さらに、スタッフが顧客の視点から物事を考えることで、現状のサービスや店舗の改善点を早期に見つけられる上に、トラブルを事前に気づき阻止することも可能です。顧客の視点を常に持つことで、顧客満足度はもちろん、ブランドイメージや信頼性を高めることができます。

精神的にタフな人

美容師は立ち仕事の施術、顧客との会話、臨機応変な対応など、業務中は常に気を張っている状態にあります。体力的にも精神的にもハードな職業であるため、ある程度のストレス耐性やプライベートで発散できるタイプであれば、美容師として非常に向いている人材です。

学習意欲がある人

カットやカラーの知識や技術は常に進化しており、トレンドや流行から勉強し続けなくてはいけません。知識や技術を身に付けるためには、他の美容師から学んだり最新の情報をいち早く取り入れたりする向上心が必要です。

優秀な人材を見極めるポイント

美容室の運営に適した優秀なスタッフを見極めるにはいくつかポイントがあります。まずは、実際に会って話す面接で見極めることをおすすめします。

コミュニケーション能力の高さは最も重要です。優秀な人材には複数の特徴がありますが、中でもコミュニケーション能力は多くのことをカバーできるため、重宝されます。自分の経験やスキル、考えを明確に伝える力があるか、一方で聞き上手でもあるか確認しましょう。

仕事をする上での人間性も重視すべきポイントです。美容室は顧客と対峙するサービス業のため、メールのレスポンスや挨拶、お礼などの社会人としてのマナーができているかどうかは、採用時最も重要な項目になります。接客や受付など、顧客と直接関わるサービス業の経験がある人は、対人スキルがあるため即戦力になります。

また、顧客対応のためのヘアケアやセットに関する知識や、予約システム・顧客管理システムなどのITシステムを操作するスキルが備わっていると、非常に役立ちます。しかし現時点で知識がなくとも、学ぶ意欲があれば十分期待できます。

採用するためのポイント

どのようにして優秀なスタッフを採用すればよいのでしょうか。以下に、そのための重要なポイントをご紹介します。

採用目的の明確化

採用の目的を明確化すると、適切な求人情報を作成でき、それに沿ったスキルや経験を持つ求職者を引き付ける内容を作成しやすくなります。さらに、目的に基づいて具体的な評価基準や面接の質問を設定できるため、選考プロセスを効率的に行えます。

採用の目的を組織のビジョンや戦略と連携させることで、長期的な成功に貢献する人材を採用できます。新人スタッフのトレーニングやマネージメントもスムーズになります。

人材要件の見直し、具体化

求める人材要件を見直し、具体的な内容にすると、その要件に合うスキルと経験を持つ適切な人材をより効率よく採用できます。

優秀な人材の特徴をすべて持っている人を採用することは非常に困難であり、求めるハードルが高すぎると応募すら来ないこともあります。求める条件の中で絶対に外せないポイントを絞り、他は未経験可とすることで、適切な人材を集めやすくなり、候補者の間口も広がります。採用側の評価軸もぶれずに、候補者に対して公平かつ一貫した評価を行うことが可能になります。求職者との期待値が一致し、早期離職を防ぐことができます。

魅力的な求人票の作成

美容室の特徴や働く環境、提供する福利厚生などについて、具体的に伝わるような求人票を作成します。求人に入れる主な内容は以下の6つです。

美容室は、店舗数が多いことから、精度の低い内容ではほかの店舗に応募してしまいます。そのため、求人でしっかりと特徴やメリットを訴求する必要があります。

また、求人は分かりやすく、明瞭で、親しみやすい言葉で書くことが重要です。美容室内の適切なビジュアルや画像を使用すると、求人はさらに引き立つでしょう。最後に、企業の連絡先も明確に示すことを忘れないようにしましょう。

適切な報酬、労働条件、福利厚生を提供

競争力のある給与や福利厚生を提供し、店舗の強みをアピールすることで、優秀なスタッフを引きつけることができます。週○日勤務OK、子育て中の方多数活躍、社会保険完備、などを検討してみてください。

2023年現在、東京労働局によると東京都の最低賃金は1,072円で、株式会社リクルート「TOWNWORK」によると、2022年8月、東京都のアルバイト・バイト・パートの平均時給は1,217円でした。

職種、地域ごとの平均時給も参考にしつつ、各種求人サイトで美容室の募集状況をチェックし、納得のいく報酬を提示できるとベターです。

ブランドの強化、方向性やビジョンの共有

店舗、または運営側の価値観、ビジョン、ミッションを明確に共有し、強いブランドイメージを構築します。そのブランドイメージが、自身の価値観やキャリアのゴールと一致する候補者を引きつけ、店舗への愛着にもつながります。

費用をかけない採用手法

店舗運営スタッフを募集するには採用サイトに求人広告を掲載するのが一般的です。しかし、開業前に採用予算が取れない場合もあります。費用をかけずに採用する方法を紹介します。

自社Webサイト

自社のWebサイトに採用情報のページを設け、求人情報を掲載します。求人情報は定期的に更新し、応募方法をわかりやすくすることが重要です。スタッフ採用のためだけでなく、美容室の集客にも効果を発揮するため、Webサイトがない、作成を検討していないという場合でも、できる限り作成することがおすすめです。

スマートフォンの普及により、利用希望者のほとんどが、事前にインターネットで情報を調査してから店舗に訪れます。特に美容室の場合、店舗数が多いため、事前に調べられてどの店舗を訪れるか決めることが多いです。その際に自社ホームページがないと不安を与えてしまい、新規顧客の獲得を逃してしまいます。

自社Webサイトに求人を出していると、Google検索エンジンの機能の一つである「Googleしごと検索」に無料で情報を掲載してもらうチャンスが得られます。少しテクニックが必要ですが、検索エンジンで求人を検索している求職者を取り込むことが可能です。

SNS

Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSを活用して、求人情報を投稿します。最近では、SNS経由で就職先が決定したという事例も珍しくないです。SNSでヘアカットやヘアカラーの様子、店舗の雰囲気などを写真や短い文章で求職者に伝えられるため、働いたときのイメージが形成しやすく、実際に働いたときとの齟齬を少なくできる手段です。フォロワーや友人・知人に拡散してもらうことで、さらに広範囲の求職者にアピールできます。

従業員の紹介（リファラル採用）

もし既存の従業員がいる場合、知人や友人を紹介してもらう制度を設けます。紹介された人が採用された場合に、ボーナスや特別休暇など、何らかの報酬を提供すると良いでしょう。リファラル採用は、推薦者が求職者の能力や性格を理解しているため、新しいスタッフの品質を確保します。

地元のハローワークや就職センター

地元のハローワークや大学・専門学校の生協、就職センターなどと連携し、求人掲載してもらう方法もあります。民間の求人媒体とは異なり、無料で求人をのせることが可能です。掲載後すぐに応募がくる保障はないため、急いで採用したい場合には不向きですが、採用のきっかけを増やす手段の一つとして検討してみてください。

オンラインとオフラインのネットワーキング

人材獲得のためのイベントに参加したり、業界のオンラインコミュニティに参加したりすることで、優秀な候補者を見つける機会が増えます。こうしたつながりで、人を紹介してもらうことも期待できます。

まとめ

今回は、美容室運営で費用をかけずに優秀なスタッフを採用する方法について解説しました。

美容室の運営における成功の鍵は、優秀なスタッフの採用にあります。そのためには、美容室が求める人材像や採用する目的を明確にし、正しい基準で人材を評価・選択することが不可欠です。採用プロセスを計画的に進め、多角的な評価を行い、候補者の本質的な能力やポテンシャルを見抜くことが求められます。

また、求人作成時には、企業文化や勤務条件、職務内容などを具体的に記載して、自社で働くメリットを明確に伝えることが重要です。SNSやホームページなどWeb媒体も積極的に活用して、情報を発信することが求められます。こうしたアプローチによる、能力と適性を兼ね備えた優秀なスタッフを採用することは、長期的な成功の実現につながります。優秀なスタッフを確保し、快適な美容室運営を目指しましょう。