ますます増える美容室!今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

ますます増える美容室!今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

街を歩いてみると、新しい美容室が増えていることに気づきます。それらは様々なスタイルやコンセプトで、トレンドを追求する若者から、リラクゼーションを求める高齢者まで、様々な顧客層に対応しています。美容業界では新たなニーズが日々生まれ、それを捉えるために今までにはないコンセプトの店舗が誕生しているのです。

それゆえ競合の数は多いですが、美容室はアイディアやコンセプト次第で成功をつかむことが可能な業界です。その点に魅力を感じ、起業を検討している方も少なくないでしょう。

しかし開業にあたっては、初期投資、ランニングコスト、運営方針の確立などの準備を行うことが重要です。また、競争が激しい市場であるため、差別化するための戦略も必要となります。

本記事では美容室をこれから開業しようという人のために開業時にやるべき必須項目を紹介していきます。

美容室の需要

美容室は、一般的なヘアカットから色々な種類のヘアカラーやパーマ、トリートメント、スパサービスまでサービスを広範に及びます。そのため、美容室は今や男女ともに生活のなかで欠かせない存在になっているといえます。

厚生労働省が発表した「令和3年度衛生行政報告例の概況」内「生活衛生関係」によると、過去20年以上にわたって美容所は増加し続けています。今後はオーガニックヘアケア専門の美容室、男性専門の美容室など特定のニーズに寄り添った美容室も増えることが予想されます。そのため、ますます美容室の数は増加するでしょう。

開業するために必要な経営ポイント

美容室を開業するためには、多くのステップを経なければなりません。具体的なやることリストは以下のようになります。

☑1.美容室運営に必要な資格の取得
☑2.事業計画、運営方針の決定
☑3.物件選び
☑4.資金調達、計画
☑5.保健所・消防署での手続き
☑6.外装・内装工事
☑7.美容機器・備品の発注
☑8.開業届の準備・提出
☑9.青色申告の準備
☑10.社会保険の加入
☑11.集客

1.美容室運営に必要な資格の取得

美容室を経営するために必要な資格は、「美容師免許」と「管理美容師免許」です。

美容師免許

美容師免許は国家資格であり、ヘアカットやパーマなどの美容業務を行うためには必須の資格です。免許を取得するためには、美容学校に通学し、専門的な知識や技術を学んだ後、国家試験に合格する必要があります。

管理美容師免許

管理美容師とは、美容師法に基づく美容室の経営に関わる最低1人必要とされる役職で、2人以上の従業員が在籍する美容室では管理美容師の資格を持つスタッフがいなければなりません。

管理美容師になるためには、国内で3年以上美容師として業務に従事したのち、都道府県知事が指定した管理美容師資格認定講習会を受講することが求められます。

2.事業計画、運営方針の決定

美容室は競合が多い業界なので、差別化されたコンセプト・ターゲットを設定して経営する必要があります。例えば男性限定美容室、子ども限定美容室など、オリジナリティのあるコンセプトを設定することで運営方針は明確になり、事業計画が立てやすくなります。事業計画が明確にあると、資金調達における助成金や融資が受けやすくなるので、運営方針は早めに決定しておきましょう。

3.物件選び

美容室に合った物件の選択は重要なポイントです。女性の利用が多いことを考えると、建物の外観や周囲の雰囲気も大きな影響を及ぼします。

駅近の場所に店舗を設けると、通勤帰りのビジネスパーソンや違うエリアからの人々が利用しやすく、美容室の新規顧客を獲得するチャンスが増えます。ただし、駅周辺では土地の価格や物件の家賃が高くなるため、その点も考慮して慎重に選ぶ必要があります。

4.資金調達、計画

開業に必要な資金

美容室を開業するには、800~2000万円程度必要です。これは、単独で小規模な店舗を開業するのか、複数名で大規模な店舗を経営するのかという事業規模の差により、大きく変化します。

開業資金には初期費用と当面の間のランニングコストがあります。

初期費用        
物件代 開業するための場所や美容機器が設置できるスペースが必要です。また、明るく清潔感のある美容室にするためのエリア選定も重要です。
機材費・消耗品費 美容席・シャンプー台・インテリアなどの機材や、シャンプー、コンディショナー、ヘアカラー剤などの消耗品も開業には必要です。
内装・外装工事費用 内装・外装の工事費やシャンプー台の設置費用など、美容室独自の工事費が必須です。
ランニングコスト    
賃貸料 賃貸物件の賃料を毎月支払う必要があります。機材をレンタルする場合はそのレンタル料がかかります。
システム維持費 予約や来店・来場業務をシステム化する場合に発生します。
人件費 スタッフを雇用する場合、賃金の支払いを視野に入れる必要があります。
その他 広告費、光熱費など必要不可欠な支払いが発生します。 

資金調達の方法

開業資金の調達方法は主として、自己負担、融資、助成金があります。

自己負担

開業資金は全額ではないにしろ、ある程度の費用を事業者の方自身で捻出するのがベターです。開業を決意したら、開業までの期間に可能な限りの資金を貯めておくことが望まれます。

自己負担額別の資金調達の例を後述しますので、そちらも参考にしてください。

公的機関からの融資

日本政策金融金庫などの公的機関や、銀行から融資を受ける方法もあります。低金利で融資を受けられるメリットがありますが、事業計画・返済計画の策定が求められます。具体的な開業準備の進捗や、開業後の売上予測、利益計算などを詳細にまとめて融資を希望しましょう。

助成金

助成金は、地方自治体や財団法人などの団体が特定の条件を満たす事業者に対して無償で提供する経済的支援です。創業助成金、女性活躍推進助成金、雇用関係助成金など様々な助成金があります。特に創業助成金につきましては各都道府県が支援を行っているので、見逃さないようにしましょう。

自己負担額別の資金調達の例

開業資金を全て事業者の方自身で負担できるのが最良ですが、美容室の開業資金は他業種と比較しても決して安くはないため、難しい場合もあります。ここでは、開業資金が「ない場合」、「300万円程度ある場合」、「1000万円以上ある場合」それぞれに合わせた資金調達の例を紹介します。

資金なしの場合

開業資金がない場合でも、「面貸し」「シェアサロン」を活用することで、独立して働けます。面貸しとは、美容室のオーナーやテナントが空いているスペースや設備を他の美容師やスタイリストに貸し出すサービスであり、シェアサロンとは、レンタル用の美容室のスペースを独立した複数の美容師で共有するサービスです。これらのサービスを利用することで、自身で物件設備を用意する必要がないまま、低価格・低リスクで開業できます。また、物件を契約する前の準備としてこれらのサービスを利用するのもよいです。

300万程度ある場合

物件を契約して開業する場合、300万円程度の資金は必要となります。最低でも100万円は用意しましょう。というのも開業資金が100~300万円程度あれば、審査が厳しい場合もありますが、融資を受けられるからです。上で挙げた融資・助成金に申請することで開業資金を調達できます。

資金を増やすこと以外にも、費用をなるべく小さく抑えることも大切です。居抜き物件を借りることで、内装・外装工事費用を大きく抑えることができます。中古の設備・インテリアを使用することも効果的です。ただし美容室は、安全や衛生管理について注意して運営することが要請されるため、あまりにも費用を切り詰め過ぎると後々問題が出る可能性があります。

1000万円以上ある場合

開業資金が1000万円以上ある場合は、様々な面に投資を行うことができます。

内装を自分で設計することで、自身のビジネスのコンセプトに沿った内装をつくれます。また、より良いサービスを提供するために、最新のシャンプー台や快適な美容椅子などの高品質な設備に資金を使うことで、高い顧客満足度を開業当初から見込むことができます。

また、自己負担だけで開業できる事業者の方でも、公的機関から融資や助成金を受けることが可能な場合があります。美容室は競争が激しい業界なので、開業後一年以内に経営の維持が難しくなることが考えられます。そのため、支援を受けやすい開業のタイミングで、融資や助成金の利用を積極的に検討することをお勧めします。

5.保健所・消防署での手続き

美容室の開業には保健所・消防署での手続きが必要です。

保健所では、美容室開設届、施設の図面や従業員名簿などを提出します。設備が基準を満たしている場合、営業許可を得られます。消防署では、適切な消防設備が設置されているかを検査し、基準を満たしている場合に合格となります。

内装工事を終えた後でこれらの検査に落ちてしまうと、再度工事をしなければいけなくなり無駄な費用が発生してしまうので、必ず内装工事を行う前に保健所・消防署への事前相談などを行っておきましょう。

6.外装・内装工事

物件選び、資金調達が完了したら美容室をどのようなデザインにするかを考えます。外装は自身のビジネスのコンセプトを視覚的に表現できる部分なので、ターゲットにアピールとなるようなデザインにしましょう。

内装についてもターゲットへのアピールとなるような空間づくりは欠かせませんが、清潔感の確保も大切です。美容室は衛生的なイメージが重要なので、清潔感を出すために、色使いや材料、照明などを工夫しましょう。また、掃除がしやすいようにインテリアを配置することも重要です。

7.美容機器・備品の発注

美容機器や備品の発注は、開業に先立って進めておく必要がある事項の一つです。シャンプー台、美容椅子、セット面などは、しばしば内装に統合されていることがあり、それゆえに工事と同時並行での発注が求められます。

美容機器は長期間にわたり頻繁に使用するため、耐久性と信頼性が高い製品を選ぶことが重要です。価格が低くても、頻繁に修理や交換が必要な製品は長期的にコストがかさむ場合があるので、可能な限り品質の保証された設備を導入しましょう。開業前に準備する美容室の設備は後編の記事でも解説しています。

8.開業届の提出

事業を開始して1カ月以内に、個人事業主は税務署に開業届を提出する必要があり、その提出方法は3パターンにわかれます。

窓口での提出:直接税務署の窓口に行くと、記入漏れなどの心配をせずに提出ができます。ただし、平日のみの営業です。

郵送・投函:開業届は国税庁のホームページからダウンロードできるため、郵送や時間外収受箱への投函が可能です。

オンライン提出:国税庁のオンラインサービスe-Taxの利用によって、自宅で開業届を提出できます。

9.青色申告の準備

個人事業主の確定申告は青色申告と白色申告から選択できます。青色申告は税制上の特別な控除を受けられ、白色申告はその適用を受けられません。何も申請しない場合は白色申告になり、青色申告をする場合は税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。個人事業の場合、適用を受けたい年の3月15日まで、新規開業の場合は開業後2カ月以内に提出しなければなりません。

ちなみに、確定申告とは、所得を得た人が所得税を正しく納税するためにする申告であり、怠った場合罰則や罰金が科せられます。確定申告を行うのは、毎年2月16日から3月15日で、所得税算出のほか、納税額を事前に概算し納める予定納税をした人は、納税額の過不足を確定する手続きにもなります。

10.保険加入

美容室を開設する際には、事業者自身の保険と従業員の保険という、2つの異なるタイプの保険への加入が必要となります。

個人事業主の保険加入

個人事業主は、個人の社会保険の手続きを自身で行う必要があります。

国民健康保険        日本では「国民皆保険制度」によって必ず入らなければいけない保険です。会社員は会社の規模や業種に応じた別の健康保険に加入しており、会社を辞めて個人事業主になった場合、14日以内に手続きをしなくてはいけません。
国民年金保険 20歳以上60歳未満の人は、必ず加入しなければならない保険で、老年になったとき、障害状態になったときに保障される制度です。こちらも個人事業主であっても加入が必須で、退社後14日以内に手続きが必要です。
介護保険 高齢者の介護負担を支える保険制度で、健康保険と同時に徴収されます。個人事業主も同様に徴収されるため、国民健康保険への手続きだけで問題ありません。

従業員を雇用する際の保険加入

美容室で従業員を雇用する際、以下の保険に加入することが必要です。ハローワーク、労働基準監督署、年金事務所とそれぞれの保険で提出先が異なるので注意しましょう。

雇用保険        労働者の失業時の生活を支援し、早期再就職を促進するための保険です。ハローワークにて手続きを行います
労災保険 労働者が職場で事故に遭った時などに、治療費や保証を提供する保険です。労働基準監督署にて手続きを行います。
健康保険・厚生年金  従業員を雇用した際、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を、年金事務所に提出することが望まれます(必須ではありません)。

11.集客

先述したとおり美容室は競合が多いため、誰をターゲットにサービスを提供するのかを明確にすることが重要です。年齢層、性別、地域性などを考慮し、美容室のコンセプトや提供するサービス、価格設定などを決めましょう。

そして、ターゲットに合わせた広告やプロモーションを行いましょう。SNS、広告、チラシ、地元のイベントへの参加など、多様な手法を組み合わせて美容室の集客に取り組むことが大切です。

>>ますます増える美容室!今から開業したい人が知っておくべきポイント【後編】はこちら

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