美容室の開業後、集客を順調に進めるためには、効果的なマーケティング戦略と魅力的な施設運営が必要不可欠です。この記事では、美容室運営における集客を成功させる具体的な方法やポイント、アイデアを紹介します。
デジタルマーケティングの活用、施設の差別化、イベントの企画、顧客満足度の向上など、オンライン、オフライン両方に実践的な集客方法のヒントがあります。美容室業界で競争力を高め、集客数を増やすための秘訣を探りましょう。
店舗集客が必要な理由
店舗集客は、美容室運営を成功するために重要な要素です。なぜなら、競争の激しい美容室業界において、顧客の関心を引く必要があるからです。厚生労働省の「令和3年度衛生行政報告例」によると、2021(令和3年)度の美容室(美容所)は264,223施設あり、店舗数は他業種に比べ非常に多く、熾烈を極めています。つまり、他店舗との差別化が重要であり、それに合った集客を行わないと自店に人を呼び込むことができません。
効果的な店舗集客戦略を実施すると、利用者数の増加だけでなく、収益の増加、リピート利用者など継続的な顧客関係の構築、店舗のブランドや認知の向上などが見込めます。
集客は、効果的なマーケティング戦略と顧客満足度の向上に焦点を当て、施設の魅力を最大限に引き出す方法を選ぶことが必要です。
美容室における集客方法の選び方
美容室における集客方法の選び方のポイントを解説します。
店舗に呼び込みたいターゲットに合っているか
事業計画を策定する際に考えたターゲットに合った集客方法を行うことは重要です。狙った層に情報が届かず、余計なコストをかけてしまい、集客の効率が悪くなります。
例えば、20代をターゲットにしているのに、新聞に広告を出稿してしまうのはミスマッチです。総務省が発表した「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、20代における新聞閲読時間の平均は平日、休日共に1分も満たしていません。
運営している美容室がターゲットとしている年代、性別、居住地などの属性から最適な集客手法を選ぶことが効果的です。
商圏範囲に合った方法か
商圏範囲とは、店舗系のビジネスにおいて顧客の来店が見込める地理的な範囲、つまり集客が可能な範囲といえます。商品やサービスによって商圏範囲が異なってくるため、事前に商圏分析を行い、狙うべきエリアを把握することがポイントです。
例えば、主に近隣の顧客が利用する場合、商圏は狭くなります。商圏外にアプローチしてもメリットが少ないので、店舗周辺でのポスティング、ティッシュ配りなどの実施が有効です。反対に遠くのエリアから通う顧客がいる場合、商圏は広くなります。店舗周辺の集客に絞ると顧客獲得の機会を逃してしまうため、広い範囲の顧客にアプローチできるデジタルマーケティングの施策が最適です。
特に美容室の場合、店舗数が非常に多く、どのエリアにも異なったメリット・デメリットがあります。商圏範囲、エリアの特性を考慮しつつ集客手段を選びましょう。
実施後に効果測定・分析ができるか
美容室の集客手法を選ぶ鍵はいくつかありますが、初めから最適な手法を選び出すことは非常に難しいです。その場合、効果測定や分析ができる手法だと、どの集客手法が最も効果的であるかを判断する材料になります。
測定結果をもとに予算やリソースを最適に配分することで、投資対効果が高い手法だけを残せます。無駄な費用を削減し、収益を最大化するための戦略的な意思決定にもつながります。また、データに基づく改善のサイクルを回し、継続した改善を行えるようになり、上司や他者に報告する際、容易に結果を可視化できます。
美容室に合った業種別の方法か
集客手法にはいろいろなものがありますが、行っている事業にあっているかどうかも見極めるポイントです。
美容室は幅広い範囲の年代に利用され、特に女性の利用頻度が高いと予想されます。したがって、多くの人の目に留まりやすいSNSなどで、ヘアカットやヘアケア中の撮影した動画をハッシュタグをつけて投稿し、店舗の技術力や認知を広める施策が効果的です。また、予約をして来店する場合が多く、予約サイトから探すことを考慮して、施術後により魅力的になると思える画像を入れるのも有効でです。
これらの集客方法を組み合わせて活用し、自身の店舗が持つ魅力を広めることで、顧客の獲得とロイヤリティの向上を図ることができます。
オンラインとオフラインの集客方法
集客手法はオンラインのものとオフラインで行うものに分類できます。双方のメリット、デメリットを理解した上で、対象の店舗集客に効果がある手法を考えます。
オンラインの集客施策
①Web
自社のホームページ
店舗のホームページやブログは開業時に検討される代表的なものです。ホームページやブログは、企業や個人の専門知識、情報、アイデアなどのコンテンツを発信するプラットフォームとなり、顧客や読者に大きな価値を提供できます。また店舗のブランド構築や信頼性の向上にも役立ちます。
少しテクニックが必要ですが、SEO対策をすることで検索エンジンに上位表示されるようになり、美容室を探しているユーザーに自社の情報を直接的に届けることができます。
立ち上げや更新に手間がかかるのが難点ですが、その分得られるメリットが大きく、最近ではかんたんにサイトを作成できるツールもあるため、作成をおすすめします。
Google ビジネス プロフィール(旧:Google マイビジネス)
GoogleビジネスプロフィールはGoogleの無料情報管理ツールです。作成することで、Google 検索やGoogle マップ上でビジネス情報が表示されます。顧客は営業時間、場所、連絡先情報などをかんたんに確認でき、店舗の存在を把握が容易です。スマートフォンからでも情報が確認しやすく、特に美容室のように顧客が店舗に行く必要がある場合、Googleマップに情報があると迷わずに向かうことができます。
利用者から投稿された写真やレビューといったリッチな情報が表示されるのも特徴です。良い評価やポジティブな口コミは信頼性を高め、新規顧客の信頼を得るのに役立ちます。一方でネガティブな評価も見えてしまうリスクも把握しておきましょう。
店舗の公式アプリ
既存の利用者向けですが、店舗の公式アプリを作ると顧客と直接接点を持てます。ブランドメッセージやキャンペーン、特典などの情報配信に加え、オンライン予約や注文、ポイントカードをアプリ内でかんたんに利用できるようにすることで、顧客の利便性を向上させることができます。美容室など予約が必要なビジネスには最適です。ユーザーエクスペリエンスが高いと、顧客はアプリを利用することを継続し、サービスや店舗への好感度も高まります。
ホームページと同時にアプリも準備するのは手間がかかるため、どちらかを優先して作成しましょう。顧客はまず店舗情報を検索エンジンで調査する場合が多いため、ホームページを先に作成し、追って店舗のアプリ作成を行う流れがおすすめです。
予約不要、会員登録不要にしているなど、業態によってはそもそもアプリを作るメリットがないこともあります。ビジネスの方向性を考えて、必要性を判断しましょう。
メールマガジン(メルマガ)
アプリ同様、既存利用者のメールアドレスを知っている場合に限りますが、メルマガのコンテンツは読者にとって価値のある情報や特典を提供することが可能です。業界のトレンドやニュース、アドバイス、限定セールや特典など、読者が興味を持つ内容を選定しましょう。コンテンツの魅力を高めるために、見出しや文章の工夫、ビジュアル要素も活用するとなお良いです。メルマガの登録者を属性などでセグメントすることで、よりターゲットに合ったメッセージを届けることができます。
あまり頻繁に送ると顧客に嫌がられる可能性があるのが注意点です。そもそもメールを見ない人も多いため、もし店舗の公式アプリがあれば代用できます。
Web広告
Web広告は、特定のターゲット層の興味関心、オンライン行動などの情報を活用して、広告を表示する対象を絞り込むことができます。これにより、広告の露出がより美容に関心のあるユーザーに限定され、効果的な集客が期待できます。Googleの検索結果への表示やバナー掲出、SNSへの出稿など、広告様式や配信チャネルが豊富なのもWeb広告のメリットです。
ただし広告なので、掲載枠や成果に伴い料金がかかります。予算と相談しながらの検討をおすすめします。
②SNS
総務省が発表した「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」より、2021年(令和3年)度の主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率を年代別に見ると以下の通りです。各SNSには利用する年代に特性があります。その点に触れながら集客のポイントについて説明します。
LINE公式アカウント
LINEは2023年3月末時点で月間9,500万人のユーザーが利用しているメッセージアプリです。ユーザー数は他のSNSと比べて圧倒的に多く、幅広い世代が利用しています。
LINE公式アカウントの導入は、顧客とのコミュニケーションやエンゲージメントの強化、リアルタイムな顧客サポートの提供など、主にリピーターの集客に大きな効果が期待できます。ただし、企業の公式アカウントは通知が多すぎるとブロックされるなど、手軽であるが故にすぐに接点を断たれてしまう懸念もあります。効果的な活用のためには適切なマーケティング戦略とコンテンツの提供が必要です。
X(旧Twitter)
X(Twitter)では短いテキストや画像、動画を活用して情報を発信します。フォロワーの関心を引き付けるようなキャッチーなコピーとビジュアルコンテンツを使った投稿が理想的です。フォロワーとの対話を促すために、他のユーザーのツイートをリツイートしたり、いいねをすることも効果的です。これにより、他のユーザーの目に自身のアカウントが映り、フォロワーの拡大やコミュニティの形成につながることがあります。
X(Twitter)はリアルタイム性が高いプラットフォームなので、トレンドや話題に敏感に反応しましょう。フォロワーの注目を集めて新規のユーザーを獲得することができます。一方で、不適切な投稿も拡散されやすいため、投稿内容には十分に気を付ける必要があります。
YouTube
YouTubeで集客を行うには、視聴者が価値を感じる高品質なコンテンツを制作することが重要です。魅力的なタイトルやサムネイル、視覚的に魅力的なビデオ編集など、視聴者の関心を引き付ける要素を重点的に意識しましょう。また、例えば実際のヘアカット中の様子や、ヘアケアに関する紹介動画など、視聴者が役立つコンテンツを提供することで店舗に興味を持ってもらうことができます。
動画SEO(検索エンジン最適化)も戦略の一部です。適切なキーワードリサーチを行い、動画タイトル、説明文、タグに関連キーワードを使用することで、多くの見込み顧客に有益な情報を届けることが可能です。
ただし、動画編集には手間がかかるうえ、近年多くの人が参入したことで、競争が激しい集客方法です。
Instagramは画像や動画がメインの視覚的なプラットフォームであり、魅力的な写真やビジュアルコンテンツが重要です。商品やサービスの魅力を引き立たせるような高品質な写真や動画を投稿し、フォロワーの関心を引き付けることが大切です。ハッシュタグと組み合わせて広く情報拡散をすることもできます。美容室のアカウントを運用する場合、ヘアカット後のイメージをつけやすい画像や動画を提供した方がイメージしやすく、新規の顧客を集客しやすいと予想されます。
また、Instagramは全体の利用者の半数以上が女性で、10代~20代の7割以上が利用しており、特に若い女性向けのSNSと言えます。ターゲットと親和性があるかを考えて導入を検討しましょう。
TikTok
TikTokはエンターテイメント性の高い短い動画が特徴です。クリエイティブで有益なコンテンツを作成し、視聴者を魅了することが重要です。TikTokコンテンツは、YouTubeやInstagramなど他のSNSプラットフォームやウェブサイトにシェアできるため、視聴者を相互に誘導することも有効です。
TikTokもInstagramと同様、若い世代に人気のSNSなので、ターゲット層との親和性があるかを考えた上で導入を検討してください。
オフラインの集客施策
①紙媒体
ダイレクトメール、チラシ
既に店舗を訪れたことがあり、住所を知っている顧客にダイレクトメールを送るのもよく利用される手段です。過去に利用したものの足が遠のいていた休眠会員を掘り起こすきっかけとなります。
近隣の地域をまわり、チラシをポスティングするのも1つの案です。店舗がある地域を狙って広く確実に情報を拡散させることができるため、見込み客を多く獲得することができます。ただし、ポスティングをNGにしている家もあるため、間違って投函するなどしてトラブルを起こさないよう気を付ける必要があります。
フリーペーパーへの出稿
フリーペーパーに広告を出したり、取材してもらえるよう働きかけるのも選択肢の1つです。フリーペーパーはレストランやショッピングモール、公共の交通機関などに置かれています。表紙に人気や話題の芸能人が載っており、若い世代が手を取りやすく、美容室への訴求効果は期待できます。一方、申し込んでも取材してもらえない、広告費が高いなど難易度が高いのも特徴です。
②リアル
街頭でのチラシ、ティッシュ配り
街頭でのチラシ、ティッシュ配りは昔から行われている方法です。店舗の近辺の住民、該当地域によく来る人にダイレクトに店舗の情報を伝えて呼び込むことができます。クーポンなどの特典を配布することで来店する確率が高まります。人員を割く必要がある、なかなか受け取ってもらえないなどデメリットがありますが、自身の店舗の魅力を直接声をかけて伝えることが可能です。
体験会、イベント
美容室の集客ではあまり行われませんが、ヘアカットやヘアサロンのイメージをつかんでもらうために体験会、イベントを行うのは新規顧客の獲得に効果的です。プレオープンを行うのも施策の一つです。人々は新しいものや新しい体験に対して関心を持つため、イベントで注目を集めて、顧客の興味を引くことができると絶大な効果をもたらします。
限定的な特典や割引、サンプル配布なども併用することでさらに集客を促進できます。また、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客やコミュニティ内の支持者を新店舗に引き付けることも可能です。開催にはコストや労力がかかりますが、検討してみてください。
特殊な店舗集客方法の事例
一般的な集客方法を行っていると、マンネリ化したり効果が伸び悩んでくることも考えられます。一風変わった集客方法もあるので2つ紹介します。
サロンモデル
サロンモデルとは美容室の宣伝を目的としたカットモデルで、施術後に写真を撮影し、ホームページやSNSに掲載することで集客アップを目指します。ヘアサロンが売り出したいヘアスタイルやヘアカラーを多くの人に認知してもらえるといった特徴があります。特に店舗のInstagramアカウントで、許可を取って一般客の施術後を撮影し投稿する場合が多いです。最近は、YouTubeのShort動画やTikTokなどの尺の短い動画が流行していることから、施術の様子の早送りやビフォーアフターといった変化のわかりやすい動画で店舗の技術を認知してもらうといった集客方法もあります。
キャンペーン
キャンペーンは、特に新規顧客を獲得する非常に有効な集客方法です。ほかにも、繁忙期以外での来客率・リピート率の向上なども期待できます。キャンペーンは種類も多く、周年キャンペーンや季節のキャンペーン、SNSを用いたサービス、シャンプーやリンスなど購入に関するキャンペーン、と明確な目的とともに実施します。
キャンペーンの中でもターゲットに合わせた企画は、似たり寄ったりのキャンペーンと異なり、他店との差別化が可能です。独自のキャンペーンを思案することで、その店舗ならではの価値が生まれるため、集客する際におすすめです。
美容室に適した店舗集客の具体例
美容室における店舗集客の具体的な例をいくつかご紹介します。
【SNSコンテンツの活用】
InstagramやTwitterなどのSNSプラットフォームを活用して、店舗の魅力を発信しましょう。ヘアカットやヘアカラーの写真や動画、カット中の様子などを投稿で、フォロワーの関心を引き付けることができます。特に美容師個人がカットやカラー、ヘアメイクの動画を投稿して、人気に火が付けば爆発的に集客できます。美容師にファンがつくことで美容室全体の評価が上がるため、個人のSNSに力を入れることは有効です。また、ユーザーの投稿を紹介する企画やSNS限定の特典を提供することも効果的です。
【ホームページの強化】
美容室に行く際、予約サイトや情報サイトからホームページや店舗サイトに移動して、そのサイトの雰囲気やカットの様子で訪問を判断することが多いです。独自のコンテンツやSEO対策でより多くの人の目に留まるようにこだわって作成することで、効果的に顧客を集めることができます。
上記の具体例を活用することで、美容室の店舗集客効果を高めることができます。最も重要なのは、顧客の興味やニーズに合った魅力的なプランや特典を提供し、顧客関係を継続的に構築することです。
これまで紹介した集客手段に加えて、顧客の利便性を高めるシステムを導入するのもリピーターの獲得に効果的です。例えばオンライン予約システムを導入することで、顧客はかんたんに美容室の予約を行うことができます。日程選択、時間枠の表示などができる使いやすい予約システムを提供し、顧客の満足度を高めましょう。
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まとめ
今回は、美容室の店舗集客方法について解説しました。
美容室の集客には、効果的な戦略と方法が求められます。集客には様々な手法がありますが、ターゲットやエリアの特性を考慮し、オンラインとオフラインの集客方法を使い分けることで、顧客の獲得と店舗への愛着、つまりロイヤリティを向上することが可能です。効果的な集客戦略の展開で、美容に関心を持つ人に、より価値のある施術を提供できます。
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画像引用元:RESERVA公式ホームページ
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