男女ともに人気なネイルサロン!今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

男女ともに人気なネイルサロン!今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

一瞬で目を引く鮮やかなネイルアート、心地よい時間を提供するリラクゼーションスペース、それぞれの個性を引き立てる個別化されたサービス――これらが街角のネイルサロンの風景です。今日のネイルサロンは、個々の顧客のニーズや好み反映した施術で、幅広い層から人気を得ています。

ネイルサロンのビジネスは、資材費が安価かつサービス料が高価で利益率が高い点、美容業界の他の業種と比較して開業にかかる資金が少ない点などの魅力があります。これらの点から、ネイルサロンの開業を検討している方は多いでしょう。

しかし開業にあたっては、初期投資、ランニングコスト、運営方針の確立などの準備を行うことが重要です。また、競争が激しい市場であるため、差別化するための戦略も必要となります。

本記事ではネイルサロンをこれから開業しようという人のために開業時にやるべき必須項目を紹介していきます。

ネイルサロンの需要

ネイルサロンは現在、女性だけではなく男性にも需要が広がっています。株式会社リクルート・ホットペッパービューティーアカデミーが2023年に発表した「【美容センサス 2023 年上期】≪ネイルサロン編≫」内「[ネイルサロン」【男女】利用率・利用経験率」によると、男性のネイルサロンの利用経験率は過去2年にわたって増加しており、20代の利用経験率は10%を超えています。このように、ネイルサロンを利用する男性は増加しており、今後もこの傾向が続くことが予想されます。

ネイルサロンは今や男女ともに需要があります。今後は多様なニーズに対応するため、市場はより拡大するでしょう。

開業するために必要な経営ポイント

ネイルサロンの開業のためには、多くのステップを経る必要があります。具体的なやることリストは次のようになります。

☑1.事業計画、運営方針の決定
☑2.資格の取得
☑3.資金計画
☑4.物件選び
☑5.保健所・消防署での手続き
☑6.外装・内装工事
☑7.ネイル機器・備品の発注
☑8.開業届の提出
☑9.青色申告の申請
☑10.社会保険の加入
☑11.集客

1.事業計画、運営方針の決定

ネイルサロンは競争が激しい業界なので、差別化されたコンセプト・ターゲットを設定して経営する必要があります。

例えば、高級感のある内装で演出されたラグジュアリーネイルサロン、時短メニューのあるネイルサロンなど、オリジナリティのあるコンセプトを設定することで運営方針は明確になり、事業計画が立てやすくなります。事業計画が明確にあると、資金調達における助成金や融資が受けやすくなるので、運営方針は早めに決定しておきましょう。

また、ネイルサロンに美容室を併設する場合やまつ毛エクステをメニューに加える場合、設備の導入費用、価格設定、コンセプトなどが通常のネイルサロンを経営する場合と大きく異なります。運営方針を決定する際には、この点に注意することが望まれます。

2.ネイルサロン運営に望ましい資格の取得

ネイルサロンを運営するための必須の資格はないのですが、技術や知識を顧客にアピールするために、ネイリストの資格を取得することは非常に有用です。

JNECネイリスト技能検定試験

公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが主催する技能検定です。3級から1級までの各級があり、プロとして必要な理論的知識と実践的技術力の証明として広く認知されています。

JNAジェルネイル技能検定試験

NPO法人日本ネイリスト協会が主催する、ジェルネイルの施術技術を評価するための資格で、初級・中級・上級の3つのレベルがあります。ジェルネイルの知識と技術が求められるネイルサロン業界で、技術力を証明する重要な資格となります。

JNAネイルサロン衛生管理士

NPO法人日本ネイリスト協会が主催する、サロンの衛生管理に関する知識を証明する資格です。ネイルサロンを開業する際には衛生管理が重要となるため、この資格は役立ちます。

3.資金計画

開業に必要な資金

ネイルサロンの開業資金は、規模や開業する場所によって大きく変化します。自宅での経営であれば50万円でビジネスを開始できる場合もあれば、テナントを借りて大規模な店舗を経営する場合、1000万円を超える場合もあります。

ただし、費用がかかる項目は共通しているので、以下でそれを紹介します。

初期費用        
物件代 開業するための場所や施術のための設備が設置できるスペースが必要です。また、明るく清潔感のあるサロンにするためのエリア選定も重要です。
機材費・消耗品費 ネイルテーブル、ネイルチェア、ライト、ネイルマシン、ワゴンなどの機材や、ネイル用品、消毒品、アルコールなどの消耗品も開業には必要です。
内装・外装工事費用 ネイルサロンに適したデザインを形作るための内装・外装の工事費は必須です。
ランニングコスト    
賃貸料 賃貸物件の賃料を毎月支払う必要があります。機材をレンタルする場合はそのレンタル料がかかります。
システム維持費 予約や来店・来場業務をシステム化する場合に発生します。
人件費 スタッフを雇用する場合、賃金の支払いを視野に入れる必要があります。
その他 広告費、光熱費など必要不可欠な支払いが発生します。 

資金調達の方法

開業資金の調達方法は主として、自己負担、融資、助成金があります。これらを複合的に用いて、資金を調達すると望ましいです。

自己負担

自宅での経営や、小規模なテナントでの経営であれば、全額自己負担で開業するのが現実的でしょう。自己資金ゆえ返済義務がないので、心理的な負荷を少なくしたまま開業できます。

大規模な店舗や、複数名で開業する店舗であっても、開業資金は全額ではないにしろ、ある程度の費用を事業者の方自身で捻出するのが望まれます。開業を決意したら、開業までの期間に可能な限りの資金を貯めておきましょう。

公的機関からの融資

銀行や日本政策金融金庫などの公的機関から融資を受ける方法もあります。低金利で融資を受けられるという利点がありますが、創業計画・返済計画の策定が求められます。具体的な開業準備の動向や、開業後の売上予測、利益計算などをまとめた上で融資を申請しましょう。

また融資を受ける場合、自己資金なしの場合であると申請が通りにくいので、少額でも自己資金を用意した上で申請する必要があります。

助成金

助成金は、地方自治体や財団法人などの団体が特定の条件を満たす事業者に対して無償で提供する経済的支援です。開業した際などに申請できる創業助成金、従業員のキャリアアップの経費補助となるキャリアアップ助成金などが挙げられます。そのほか、各自治体や財団法人が様々な助成事業を行っているので、情報を積極的に集めるようにしましょう。

4.ネイルサロンに適した物件選び

自宅で開業する事業者の方も多いですが、物件を借りる場合、どの物件を借りるかの選定は集客にとって大事な要素です。ネイルサロンは女性の利用が多いことを考えると、建物の外観や立地、周囲の雰囲気は集客に大きな影響を及ぼします。

人通りが多い駅周辺や、交通アクセスの良い場所にテナントを借りて開業するのが理想的ですが、そのような場所のテナントは賃料が高く、安い場合でも施術に十分なスペースが足りない場合があります。アパートを借りる場合は、初期費用や賃料を安く抑えられる傾向にありますが、ネイルサロンの集客を行いづらいというデメリットがあります。

自身ビジネスプランや予算、選定したターゲットなどを考慮して、ネイルサロンに最適な物件選びを行うことが必要です。

5.保健所・消防署での手続き

美容室などの他のサロンとは異なり、ネイルサロンは保健所・消防署にて手続きを行う必要はありません。しかし、サービスメニューにまつ毛エクステを含んでいる場合は、保健所・消防署にて施設の図面などの書類を提出し、基準に達しているかどうか検査を受けなければなりません。

もし内装工事を終えた後でこれらの検査に落ちてしまうと、再度工事をしなければいけなくなり無駄な費用が発生してしまうので、必ず内装工事を行う前に保健所・消防署での手続きを完了しましょう。

6.外装・内装工事

店舗のデザインは顧客を惹きつける重要な要素となります。外装は自分たちのビジネス理念を視覚化する重要なフィールドであり、顧客が感じ取れるような魅力的なデザインを心掛けるべきです。目立ちやすく、視覚的に訴える看板の設置など、人々の興味を引く手段を探求します。

同様に、内装も顧客に訴える空間を構築することが不可欠です。さらに、清潔さの維持も優先的に考慮しなければなりません。衛生管理はネイルサロンにとって、最も大切な側面です。顧客が安全で安心して施術を受けるためには、サロンの清潔さを保つことが重要です。

さらに、物件のサイズによっては限られたスペースを最大限に活用するため、ワークスペースの設計は効率性を追求するべきです。スタッフと顧客が信頼し、施術に集中できる空間を作るためには、座席配置、空調、照明、静寂性などの要素を適切に配慮することが必要です。

7.ネイル機器・備品の発注

ネイルテーブル、ネイルチェア、ライト、ネイルマシン、ワゴンなどの設備の発注は開業準備の後半に行っても問題ありませんが、どの設備をどの程度購入するかの算段は立てておく必要があります。ネイルサロンに必要な設備のリストを作成し、それぞれの費用を調査しましょう。

そして発注の前には、設備を設置するスペースを事前に計画し、物件のサイズと設備のサイズが適合することを確かめなければなりません。また、設備を設置するための電源や配管などの設備が必要な場合、それらが適切に設置できることをも確認しましょう。

8.開業届の提出

事業を開始して1カ月以内に、個人事業主は税務署に開業届を提出する必要があり、その提出方法は3パターンにわかれます。

窓口での提出:直接税務署の窓口に行くと、記入漏れなどの心配をせずに提出ができます。ただし、平日のみの営業です。

郵送・投函:開業届は国税庁のホームページからダウンロードできるため、郵送や時間外収受箱への投函が可能です。

オンライン提出:国税庁のオンラインサービスe-Taxの利用によって、自宅で開業届を提出できます。

9.青色申告の申請

個人事業主の確定申告は青色申告と白色申告から選択できます。青色申告は税制上の特別な控除を受けられ、白色申告はその適用を受けられません。何も申請しない場合は白色申告になり、青色申告をする場合は税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。個人事業の場合、適用を受けたい年の3月15日まで、新規開業の場合は開業後2カ月以内に提出しなければなりません。

ちなみに、確定申告とは、所得を得た人が所得税を正しく納税するためにする申告であり、怠った場合罰則や罰金が科せられます。確定申告を行うのは、毎年2月16日から3月15日で、所得税算出のほか、納税額を事前に概算し納める予定納税をした人は、納税額の過不足を確定する手続きにもなります。

10.社会保険の加入

ネイルサロンを開業する際には、保険について注意する必要があります。事業者は社会保険の手続きを自身で行う必要があることに加え、従業員を雇う場合には、従業員の保険も加入しなければなりません。

個人事業主の保険加入

個人事業主が加入する社会保険です。

国民健康保険        日本では「国民皆保険制度」によって必ず入らなければいけない保険です。会社員は会社の規模や業種に応じた別の健康保険に加入しており、会社を辞めて個人事業主になった場合、14日以内に手続きをしなくてはいけません。
国民年金保険 20歳以上60歳未満の人は、必ず加入しなければならない保険で、老年になったとき、障害状態になったときに保障される制度です。こちらも個人事業主であっても加入が必須で、退社後14日以内に手続きが必要です。
介護保険 高齢者の介護負担を支える保険制度で、健康保険と同時に徴収されます。個人事業主も同様に徴収されるため、国民健康保険への手続きだけで問題ありません。

従業員を雇用する際の保険加入

従業員を雇用する際、以下の保険に加入することが必要です。ハローワーク、労働基準監督署、年金事務所とそれぞれの保険で提出先が異なるので注意しましょう。

雇用保険       労働者の失業時の生活を支援し、早期再就職を促進するための保険です。ハローワークにて手続きを行います
労災保険 労働者が職場で事故に遭った時などに、治療費や保証を提供する保険です。労働基準監督署にて手続きを行います。
健康保険・厚生年金  従業員を雇用した際、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を、年金事務所に提出することが望まれます(必須ではありません)。

11.集客

ネイルサロンの集客を効果的に行うためには、ターゲットのニーズを正確に理解することが重要です。トレンドを取り入れた斬新なデザインを求める若者がターゲットであれば最新のネイルアートを学んで提供する、ビジネスシーンで使えるシンプルなデザインを求めるビジネスパーソンがターゲットであれば上品で落ち着いたデザインを豊富に揃える、といったように対応を変えていく必要があります。

そして、そのターゲットに合わせた広告やプロモーションを行いましょう。SNS、広告、チラシ、地元のイベントへの参加など、多様な手法を組み合わせて集客に取り組むことが大切です。

 

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